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技術情報

ブレーキに関する知識

ブレーキパッド編

リヤパッドの摩耗が早い!?

これまでの車輌はブレーキパッドの交換頻度が、フロント2回交換に対してリヤは1回交換が定番でした。
お客様の声やネットでの書き込みを見ると、「フロントパッドより、リヤパッドの方が減りが早い」、「ディーラーで車輌点検を行ったら、リヤパッドだけ交換を奨められた」といったことが散見されます。
このようなコメントは電子制御が発達した2010年代前後から散見されるようになりました。

これはABS(アンチロックブレーキシステム)、EBD(電子制御制動力配分システム)の発展に起因します。
これらの電子制御は車輌を安全な姿勢を保ち、事故を未然に防ぐシステムですが、ユーザーはそれらが制御していることを体感できないくらいに進化しています。

特にEBDは「前後制動力配分制御」と「左右制動力配分制御」機能があります。
例えば、乗員人数や積載量が増えると、前後の荷重移動が増えます。この荷重移動を抑制したり、より快適な運転環境を整えるために、リヤへのブレーキ油圧を自動的に高めたり下げたりしてブレーキング時の姿勢を安定させています。

過去の例ですが、都内で大雪になったものの、夏タイヤで走りきったミニバン。
後日、パッドの摩耗警告灯が点灯したので確認してみると、リヤパッドだけがフル摩耗していました。
これは、電子制御が車輌がスピンしないようにリヤブレーキを常にコントロール。言い換えると、リヤブレーキだけが常に作動していたようなものです。
ドライバーはその電子制御に気付かず、スピンすることなく走りきれてしまったが、リヤパッドを使い果たしてしまったことがありました。

以上のように、ドライバーも気付かないうちに、電子制御でリヤブレーキを多用している為、リヤブレーキの摩耗がフロントよりも早くなるのです。