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技術情報

ブレーキに関する知識

構造編

「電子パーキングブレーキ」とは?

車輌の構造上、ブレーキには2種類あります。

①走行時に減速する為に、足で踏むブレーキ(別名:フットブレーキ)
②駐車時に車輌が動かないようにするパーキングブレーキ(別名:サイドブレーキ、ハンドブレーキ)

の2つがあります。

今回の電子パーキングブレーキは②のパーキングブレーキのひとつです。
そのパーキングブレーキ(サイドブレーキ)はかつては手でレバーを引くタイプが主流でした【A】。
車輌によっては、このレバーの代わりに左足で踏みこむタイプ【B】や、ハイエースのように手でレバーを引くタイプ【C】もあります。
いずれも、ギーと噛み合うような音がして、”機械的”にブレーキを固定。駐車時に車が動かないようにします。

これらが進化したのが「電子パーキングブレーキ」(Electric Parking Brake)です。
方式としてはボタンをポンと押すのが一般的で、ブレーキを解除するにはそのボタンをもう一度押すか軽く引くと解除できます。
いわば、スイッチひとつでパーキングブレーキを掛けることが出来ます。写真のPマークがそれです。
こちらはその名の通り、”電気的”にパーキングブレーキを掛ける方式で、音はしないのが一般的。
中には停車するだけで自動的にパーキングブレーキが作動、再びアクセルを踏むだけで自動的に解除されるタイプもあります。
注意したいのは電気を使って制御している為に、バッテリーが上がってしまうと解除すら出来なくなってしまいます。


さて、ここからが本題です。

「電子パーキング」は電気でパーキングブレーキを掛けてしまいます。
特にリヤブレーキ交換時に必要なのが専用のコンピューターで、故障診断機やスキャンツールという名前で呼ばれています。

解除方法としてはこの専用コンピューターを車輌側のコンピューターにつないで、電子パーキングを解除。
これでリヤブレーキのロックが解除されます。
つまり、このコンピューターを使って解除しないと、ブレーキパッドが交換が出来ない仕組みとなっています。
また、作業完了後にはこの診断機でリセットをしないとエラーが出たり、エンジンが掛からない車両もあります。

いずれにせよ、このコンピューターを持っていないとブレーキ交換が出来ません。
ディーラー様では完備されている所が殆どですが、ショップ様、整備工場様におかれましては、これらの設備投資が必要となります。
事業者向けに「スキャンツール補助金制度」の取り組みも随時行われています(詳細は国土交通省のHPをご参照ください)ので、是非活用したいものです。